ども、メディアチームのゆうせいです。普段からサイボウズの皆様には本当にお世話になっているのですが、なんと「サイボウズ超会議」にお招きいただきました!
今回のサイボウズ超会議は、プラス株式会社の執行役員、ヴァイスプレジデントである伊藤羊一さんによる司会、パネラーとしてサイボウズ株式会社の代表取締役社長である青野慶久さん、ヤフー株式会社の執行役員であり、YJキャピタルの代表取締役である小澤隆生さんといった超豪華布陣によるもの。
テーマは「B2Bビジネスの未来」となっていたのですが、冒頭から話は脱線しますとのお達しに、会場内のワクワクは最高潮。ではさっそくご覧ください。
不味いレシピを参考にするやつはいない
超会議というだけあって、いろいろなお話をお聞きすることができたのですが、まずは1番強烈だと思ったところからお伝えしたいと思います。
とある参加者の方のこんな質問、
に対し、
お二人とも
とのお答え。
なぜなら、美味しい料理をつくろうと思っている人が、不味いレシピ、失敗したレシピを見る必要は無い。同じ時間をかけるなら、美味しくつくれるレシピを見るのが当然とのこと。
あああああ!!!!
その通りです!ぐうの音も出ないとはまさにこのこと。
そうですよね。不味いレシピなんて見る必要ないですよね…
失敗した時、落ち込んだ時などは、ついつい偉い人でも失敗してるという安心感の欲しさから読みたくなります。でも、そんな時間があるなら成功例を見ることの方がよっぽど良いわけです。
楽天イーグルスの成功例が半端ない
そして小澤さんの成功例がこちら!
小澤さんはかつて、楽天イーグルス立ち上げ担当として楽天野球団取締役事業本部長をされており、その当時まだまだ弱小球団であったチームは試合に勝てない状況が続いていました。
そんな中、どうすれば楽天イーグルスのファンを増やすことができるか、球場への来場者を増やすことができるかの課題に取り組まれたのです。
まずは、
- 大前提として勝敗を前面に出さない
- 試合以外のことを考える
- 始まる前、終わった後、イベントを実施する
について考えたとのこと。
とにかく超絶人気のキャラをつくろうと考えた。なぜならキャラは負けない(試合の勝敗と無関係)から。
例えば、10対0で試合に負けていたとしても、このあとカラスコ(楽天イーグルスの人気キャラ)が走り回るからそれを見る。という目的が生まれるというもの。
さらに、どうすれば試合時間中にもっと楽しんでもらえるかを考えた時、行き着いた答えは、
「居酒屋」
になったとのこと。
は?
居酒屋?ってなりますよね。完全に会場の空気もそんな感じでした。でも、聞けば納得してしまうから小澤さんは半端ないわけです。
- 居酒屋に長居できるのは、そこにコミュニケーションが生まれるから。
↓ - だったら球場でも同じじゃない?
↓ - よし、向かい合わせのボックス席を設置しよう!
待て待て待て!
もうね、野球好きの人からすると考えられないことなわけです。だって、試合を見ろよってなりますよね、普通。
これが俯瞰して見ることができれば、思いつくわけなんです。
4人が横並びで座っても、コミュニケーションは限定される。ならばボックス席だと。野球の試合は3〜4時間くらいの長丁場。でも居酒屋ならそのくらいの時間はあっという間だからって発想。
で、当然ながら社内から猛反対されるわけです。
でも小澤さんはやった。自分の責任でいいからと。
結果、その席だけ5分で完売。
だから言っただろ!と。
完全に惚れるやつですこれ。
ようするに、試合を見せるわけじゃなくて、コミュニケーションをつくる。試合の勝敗はコントロールできないけど、コミュニケーションはコントロールできるから。
そこには必ず理由がある。とにかく理由を探す。
みんながやってるからはありえないし、耐えられないと語ります。みんなって誰?何人いるの?ちゃんと数値化して考える。
なぜ上手く行くかを考え、説明できるようにしておくこと。そして、まずは小さく実験して、当たれば増やす。
小澤さんは、今でもFacebookページをいくつも作り、実験を繰り返しているそうです。
そもそもB2BとB2Cでは戦い方が全然違う
小澤さん曰く、短期的に売上をつくりやすいのがB2Bとのこと。
なぜなら、相手(企業および担当者)を口説き落とせばいいだけだから。つまり、B2Bというのは口が上手ければほぼ大丈夫ということ。
なので、B2Bの場合、社長が営業上手でないとダメだというわけです。砂漠で砂を売れるイメージ。
ただし、ベラベラしゃべればいいということではない。いかに相手を引き込めるかがポイント。その最高峰が孫正義氏であり、話を聞いているとなぜだか知らないけど引き込まれるというのが理想なのです。
流れとしては、最初はB2Bで、最終的な出来上がりがB2C。それは企業の時価総額ランキングを見れば明らかなこと。B2Cの企業が上位となっている。
つまり、
- 自分の商売をコントロールできるのがB2B
(営業のかけ先があるから) - 最終的にスケールするのはB2C
ということになります。
短期的に売上が見込めるB2Bでスタートし、その後はマーケットプレイスなどのモデルで、Bのネームバリューを利用してCを集めるという流れにするわけです。
これを踏まえた上で、B2Bの未来とはどうなるのかをお話いただきました。
これからB2Bで勝とうと思ったらどう戦うべきか
誰もが予想できる未来というか、将来として、「あらゆるものがネット化する」ということがありますが、勝つためにはどう戦うべきなのでしょうか。
それをお二人が語ると、こんなに分かりやすくなります。
例えば、飲食店の予約。
意外と気がつかないことなのですが、実は現在のカタチはすごくおかしいわけです。
- 行きたいお店がある
↓ - 電話して確認する
↓ - 空いていない
↓
完全なる無駄!
上記の流れ、全くの完全なる無駄。無駄すぎて言葉もでないくらい無駄。でも、現在はこれが普通であり、誰もがこの流れで動いている。
ホテルの予約ではすでに解消されていることですが、飲食店では未だ解決されていない。空いているから電話するという当たり前のことができていない。
実はこんな不都合が世の中にはまだまだあり、これらを全部ネット化することで解決できるわけです。
今はマーケットの大きいところから始まっているが、いずれは全てがそうなる。
また、iOSのアプリなどの場合は、Appleに審査されるという、作り手からすればすごく不愉快なことになっている。だからそれを解消しようとサーバーサイドに移ることは明白であり、それが投資家の目線とのこと。
確かに、サーバーサイドで処理が可能になれば、いちいちダウンロードする必要もなくなり、作り手が決められた場所に審査を経てアップロードする必要すらなくなりますよね。
問題解決メソッドを社内で統一
ここまでのお話、聞けば当然のごとく納得できます。でも全く気がつくことができない。どうすればそのような考え方ができるようになるのでしょうか?
青野さん曰く、思いつきで走ることは今でもあるが、経営者になられてからはロジカルに考えるようにしているとのこと。
それは、自分の意思決定に理由をつけるということ。そうすれば失敗したときにそれで議論できるようになる。
実際、サイボウズではロジカルに議論できるように社内用語を統一したとのこと。
それは、
- 【問題】は「理想」と「現実」に分解して話す
- さらに、【現実】は「事実」と「解釈」に分解して話す
というもの。
何か問題が起きた時、単に「それは問題ですよ。」と言うことを許さないようにしたということです。
問題とは、理想と現実のギャップであり、そのギャップを正しく説明できなければ問題提議として認めない。
さらに、現実においては事実と解釈を正しく理解しておかなければならない。現状起こっていることの事実は何なのか、自分の解釈はそれとズレていないのかを把握するということ。
事実と解釈がずれている場合、それは現実では無い。起きてもいないことをとやかく言う必要は無い。現実を正しく理解し、それを理想と比べる。
この流れをとることで、自分の意思決定に理由をつけることが可能となり、また社内でも統一することで、議論がまっすぐ正しい方向に進むということです。
普段はロジカルに考えることを避けがちの私ですが、この方法には恐れ入りました。
強引と言われようともまとめ
B2Bの未来の話を聞きに来たはずが、超絶飛躍してロジカルシンキングのお話までいただきました。会場に居た誰もが仕事観が変わったはず。
青野さんの「いいものを作れば売れると思っている人が多いが、ロジックで石を置いていくことを忘れてはならない。」というお言葉、色紙にします。て言うかしてください。
小澤さんは、「そうだなと思えるところは採用してください。」と仰ってましたが、完全に全部です。
関係者のみなさま、本当にありがとうございました。
サイボウズ超会議が最終回だなんて、嘘ですよね?
ご存知、ゆうせいでした。