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チャットボットでうつ症状が改善。Woebot Labsの認知行動療法AIボットが始動

昨今いろいろな機能をもったチャットボットサービスがありますが、今回紹介するのはあまり前例のない、メンタルヘルスの分野で展開するWoebotです。

こちらのWoebotですが、人工知能を搭載しており、人との会話で相手の機嫌・ムード、症状などをトラッキング、それに合わせて対応していくという機能を持っています。

認知行動療法を駆使するチャットボット?

Woebot Labsよりリリースされたこのサービスは、FBメッセンジャーをプラットフォームとした自動会話型エージェントです。

日常会話スタイルでのやりとりを通じて、ユーザーについて学び、精神の健康状態を管理し、良好な状態を保つためにさまざまな働きかけをしてくれる、そんなサービスとなっています。

人工知能による自然言語処理でユーザーとの会話を行い、CBT(認知行動療法)データに基づいて感情の状態(機嫌・ムード)を読み取り判断。さまざまなコンテンツを利用しながら、対応をしていきます。

欧米ではうつ病や不安障害(パニック障害、社交不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害など)、不眠症、摂食障害、統合失調症などの多くの精神疾患に効果があることが実証されて広く使われるようになってきた治療法。

自動思考と呼ばれる、気持ちが大きく動揺したりつらくなったりした時に患者の頭に浮かんでいた考えに目を向けて、それがどの程度、現実と食い違っているかを検証し、思考のバランスをとっていく。

(引用:認知行動療法センター

自然言語解析技術での感情の動きを分析。個々人に合わせた対応へ

メッセンジャーで実際に使ってみました。

ユーザー側の発信によって会話が開始します。基本的には1日1回のセッションが長くても最大10分程度となっており、会話の内容もシンプルになっています。

Woebot側から必ず

  • ユーザーがなにをしているのか(what are you doing right now? etc.)
  • ユーザーの現在の感情(how about your mood, how do you feel right now? etc.)

を読み取るためだと思われる質問がされた後、フリーテキストでのコミュニケーションへ。そして、それぞれに対するフィードバックがWoebotから返ってくる、という流れ。

質問と応答が終わった後は、Woebotからコンテンツが送られてきます(確認できたものは、動画、テキスト資料、言葉遊びなどなど)。

このコンテンツに対してのユーザー側からのアクションは、フリーテキストではなく、基本的に与えられたボタン選択肢(はい・いいえなど)になっていて、ここはシナリオ管理によって毎日ランダムで異なるものを出してくれる仕組みになっているようです。

この一連の会話からとれるユーザーの情報を蓄積し、ユーザーの感情の動きや習性などを学習し、対応を変えていくそう。最初は14日間の無料セッションが利用できますが、そこから先は日・月・年単位での課金制となっています。

対人には言いにくいことってありますよね。特にメンタルヘルス系の悩みであればなおさら。

それがボット相手であれば、結構ハードルが低くなるのかもしれません。

ただ、定期的にメッセージを送ってくれるわけではなく、毎回こちらから起動させないといけないので、ユーザーをその気にさせる面白い部分、というのがあってもいい気もしました。

2週間でうつ症状が改善。チャットボットとの会話で生まれる効果

気になるのは、ボットとのコミュニケーションで本当に症状が改善されるのか……? というところですが、2週間にわたってWoebotを使用したグループはうつ症状が改善したそう。

公式リリース前にスタンフォード大学監修のもと、臨床実験が行われたようで、成果を正式に文書として発表しています。

ただ、CBTを行ううえでの一種の方法として結果が出た一方、症状の抹消まではいかないこと重い症状(自殺願望等)には対処できないという欠点があるようです。

結論としては、プロの専門的治療が必要になる一歩手前の方法として利用するのが最適なのかもしれません。

Woebot側も14日間のセッションが終わったのち、ユーザーに改善が見られなければ専門治療を勧める、セッション中に自殺願望など極度な症状がみられる場合は緊急措置として即座に専門機関への連絡先などを表示する、などの対応をしてくれるそう。

このサービスが元で、救われるユーザーもいるかもしれませんよね。こういったサービスは今後も要注目です。

人間より機械のほうが向いている仕事とそうじゃない仕事

Woebotのように、今まで人間が担ってきた仕事をチャットボットなどの先進技術が代行、というサービスはたくさん出てきています。そして人間が行っていたときよりもより効率的に、速く解決に導くことができるケースも多くみられます。

例えば今回でいえば、

  • 医師は診ることができる患者数が限られる
  • そもそも人(医師)に対して相談しづらい

といった部分でチャットボットの利用は非常に効果的。

しかしやはり最終的な部分は人間が必要となるパターンが多く、ボットなどの技術は人間の仕事の手助けとして一部分を行い、人間が必要となる部分はもっと抽象的な部分になっていくのかもしれません。

上手く機械に代行させることができるラインを見極めて、移行していく作業がこれからは重要となってくるのかもしれませんね。

野邊 大樹 by
日本生まれのカンボジア&エチオピア育ち、もちろん英語はビジネスレベルでペラッペラという謎に満ちた人。途中で文転した元ゴリッゴリの理系脳という、このメディアのために産まれてきたかのような男。