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Tomorrow’s Marketer これからのマーケターVol.3 認定NPO法人カタリバ様 ~ネットの向こう側にいる人の身になって考える

article by マルケトブログ

これまで各業界を代表するようなマーケターの方々に登場いただいた「Tomorrow’s Marketer」。第3回は視点を変えて、現場でMarketoを駆使しながらマーケティング活動に邁進されている方にお話をうかがいました。認定NPO法人カタリバで広報・ファンドレイジング部ジュニアマネジャーを務める川井 綾氏です。

カタリバは、「子どもの意欲や能力が生まれ育った環境によって左右されてしまう」という社会課題の解決を目指しています。そこで、先生や親(タテ)でもなく、友達(ヨコ)でもない、大学生や若手社会人といった一歩先を行く“先輩”(ナナメ)からの視点で、10代の中高生を中心とする子どもたちとの居場所や対話の場を提供しています。ロールモデルを見つけたり、彼らが抱えている悩みや不安を少しでも解消し、やる気に火を灯すことを目指し、全国8拠点で活動をしています。

川井氏は大学卒業後に金融系のシステム会社でシステムエンジニアとして3年間勤務した後、2011年にカタリバに転職しました。東日本大震災後、被災地の仮設住宅で暮らす子どもたちに放課後の場を提供しようというカタリバの「コラボ・スクール」の取り組みに参加。宮城県女川町や岩手県大槌町に移り住み、現場で働いた経験を生かし、2015年末から東京・高円寺にある本部で現在の仕事に就いています。

熱い思いに応えられるよう丁寧な対応を

カタリバはNPO法人なので、社会貢献を第一に据えています。収入の大半を占めるのも、寄付をはじめとするファンドレイジング。そうした寄付者とのコミュニケーションを通じて、収入基盤の確保・拡大に努めるのが川井氏の中心的な仕事です。

一般企業と大きく違うのが、実際にお金を払ってくれる人とサービスの受益者が異なるという点。寄付者はカタリバの理念や活動に共感し、対価なしで資金を提供してくれているのです。「寄付をしてくださる方の多くは、熱い思いを胸に秘めていらっしゃいます。例えば、『海外に住んでいて震災の時、何もできなかった。遠くからでもできる支援をしたい』と定期的に寄付をくださる方もいます。お一人お一人の思いに応えられるよう丁寧な対応を心がけています」と川井氏は語ります。

できるだけ資金やリソースは、子どもたちと向き合う現場に充てるため、現在寄付者とのコミュニケーションは川井氏を中心とした最低限のスタッフが担っています。寄付者へのお礼メールや活動報告のメルマガ送信といった業務の円滑化のために2015年12月にMarketoを導入し、作業時間の短縮など大きな効果を上げています。

「何ができるか」ではなく「まず何をしなければいけないか」

「マーケター」という言葉にはまだしっくりきていない感じの川井氏でしたが、仕事を進める上で注意していることとして2点を挙げてくれました。

1つは、常に寄付者の思いを忘れないこと。「Marketoのおかげで、クリック1つで一斉にお礼メールを送ることも可能になりましたが、その向こう側には、先にもご紹介したように熱い思いを持っている寄付者の方々がいることを忘れないようにしなければ、と肝に銘じています。このメールを受け取った方がどのように思われるか、次のアクションにどのような影響を及ぼすのか、寄付してくださる方の願いをちゃんと実現できているのか、常に想像しながら仕事をしています」と川井氏は話します。

そして2つ目が、今何をしなければいけないのか、優先順位をつけて仕事に取り組むことです。Marketoの操作もほぼ1人で行っているという状況下では、できることは限られます。「何ができるか」ではなく「まず何をしなければいけないか」を考えることが重要なのです。

実際に川井氏の業務で優先的に行っているのが、毎月1000円から、定期的に寄付していただいている個人の方々=「サポーター」とのコミュニケーションを強化して、手続きをスムーズに完了いただけるようにしたり、退会率を抑えること。そして、これまで一度でも寄付をしてくれた方がサポーターになっていただけるよう、エンゲージメント向上の施策も行っています。

Web閲覧などを糸口にしたナーチャリングや、Web広告を通じたリターゲティングなど、やってみたいことがたくさんあると話す川井氏ですが、まずはやらなければいけないことに注力し、そこから徐々にマーケティングの範囲を広げようとしています。

現場での経験をマーケティングに生かす

カタリバに転職してから4年間は常に現場に身を置いていたため、本部勤務になったときはギャップがあったと打ち明ける川井氏。しかし現場での経験が現在の仕事に生きている面があると言います。

「女川や大槌では、常に子どもたちや保護者の方々、行政の方々と接していて、外に一歩出ると復興事業を進めるダンプカーが走り回っているような状況でした。向き合っている課題や、何のためにやっているか?がとても明確だったんです。東京に来てみて、『寄付を集めるウラではこんなに細かいことをしていたの?』と驚きました。現場とは離れた場所から、現場のスタッフや子どもたちの思いを代弁し、寄付者の方や一般の方々にカタリバの活動を知っていただき、共感を集めること、1人でも多くの方にサポーターになってもらい寄付金を増やすことが、子どもたちへのサービスの充実にもつながると気持ちを切り替えました。そういう意味で、現場での経験は今の仕事に確実につながっています。あの4年間がなければ、自分のリアルな体験として、東北や子どもたちの様子を伝えることはできないし、現場と後方支援の両方をわかっているからこそ、より気持ちよく寄付いただける仕組みやお礼の方法等、考えられることがあると思っています。」

NPO法人であるために、実際にお金を払ってくれる人とサービスの受益者が異なるという特殊な状況にあるのですが、だからこそ、マーケティングのあるべき本来の姿を、より純粋な形で追い続けている川井氏の姿は、とても新鮮に映りました。

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