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ベストアプリSmoozに学ぶ、寡占市場での“勝ち施策”「プロダクト存続はユーザーとの距離が全て」

こんにちは、岡田です。

突然ですが、「Smooz」というアプリ、ご存知ですか?

AppStoreのベストアプリ2016にも選ばれたブラウザアプリなんですがじつはかなり面白い独自施策で非常に高いユーザーエンゲージメントを誇っています。
アプリレビュー欄を見ると、とにかく★5ばかりでファンだらけ。メディア掲載数もかなりの多さ!

リリースは2016年9月で、現在会社はたったの2人。しかも、この市場ってChromeとSafariの2強なのに、この人気っぷり・高評価って一体……
というわけで、そんな怪物アプリSmoozのブランディング戦略をズバリ聞いてきました。

お話を伺うのは、ASTOOL代表取締役の加藤雄一さん。よろしくおねがいします!

Smoozとは
操作のしやすさ・ネットサーフィンのしやすさにこだわって作られたブラウザアプリ。スワイプでタブを切り替えたり、ジェスチャーで「戻る/進む」ができたり、と片手だけで操作できるUIが特徴。
さらに最近、「タブの自動整理」や「カメラで文字を読み取って検索する」といったスマートな機能も追加された。

とにかくべったり! ここまでやるか、熱血ユーザーサポート

―さっそくですが、ズバリお伺いします。他のアプリがやっていないような独自施策って何ですか?

―加藤
一言でいうなら、ユーザーにべったりくっつくということですかね。
やりすぎて、たまに「うざい」とか言われちゃうぐらいなんですが(笑)

“うざがられてしまう”……?

それほどの施策って、一体どういったものなんでしょう。

具体例をお聞きすると、

  • サポートチャットが直接加藤さんにつながる。その場で改善案をユーザーに提案してしまう
  • アプリ内から加藤さんに電話をかけることもできる
  • Facebookグループで、ユーザーと意見交換をする

などが挙げられるとのこと。

いやいや、アプリ開発者と直接チャットなんて聞いたことがないですよ。

「証拠を見せてください!」とやや強引にお願いすると、スクリーンショットを見せてくださいました。

なるほど、これはすんごいですね。ユーザーの声が迅速かつダイレクトに届くようになっている!

さらにお話を伺うと、Facebookの公開ユーザーグループでは、ユーザーテスト用にベータ版も配布しているそう。そのベータ版も2週間に1回は更新するぐらい、という鬼の更新頻度。



Facebookユーザーグループの様子。ユーザーにベータ版を試しもらい、常に意見交換している。

ユーザーに密接し、回しっぱなしのPDCAサイクル。なるほど、どうやらココに強さの秘密があるようです! もっと深ぼっていきましょう。

ユーザーに心を開いてもらえなければ、事業に明日はない。“やりすぎ”施策の理由

―印象に残っているユーザーとのコミュニケーションってありますか?

―加藤
ユーザーの方とのチャットから、そのまま
「じゃあ明日、ランチしましょう!」ってなったことですね(笑)

もうアプリ開発者とユーザーの距離じゃないですよ、それ……。

ランチのときもアプリの改善点など、ユーザーインタビューしたのでしょうか?

―加藤
いえ、Smoozの話は1/5ぐらいでした。

聞いたのは、その人自身のことです。
普段は、どういう生活してるのか? 他にどんなアプリを使っているのか? などですね。

それには理由があり、「どういうライフスタイルのなかに、Smoozは存在しているのか?」ということを知るためとのこと。

確かに、そういったユーザーのバックグラウンドって、マーケターからすれば喉から手がでるほど欲しい情報なんですよね。それをナチュラルに聞いちゃう加藤さん、すごいです……

どうして、そこまでユーザーとのコミュニケーションにこだわるのでしょう。

―加藤
「このアプリを作ってるの、どこかの知らない会社だ」
と思われるようなプロダクトって、誰もなにも言ってくれないじゃないですか。

そういうアプリになりたくなかったんです。

ありますあります、「雰囲気堅すぎて、中の人に声届かなそう…… もういっか、消そ」って思うアプリやサービス。印象に残ってなくて、思い出そうとしても名前も出てきませんが。。

―加藤
私が恐れているのは、まさにそれです。

ユーザーとのリレーションシップを失った瞬間、プロダクトは終わってしまう。

ユーザーに心を開いてもらえなければ、悪い意見も良い意見も言ってもらえない。これは、とても大きな事業リスクだと考えています。

ユーザーとのコミュニケーションが途切れたら、事業の存続はありえないということですか。まさに言葉通りの「ユーザーファースト」、素晴らしいです!

覇者とは徹底的に違うやり方を。寡占市場で戦う秘訣

―ブラウザアプリという寡占市場で戦っていくうえで、気をつけていることって何ですか?

―加藤
ChromeやSafariとは、「売り出していく強み」も「ユーザーとの接し方」も
まったく別のものでないといけない、ということですね。


 

―加藤
「毎日使うものだからこそ、こだわりをもって使いたい」
そういったニーズをもつ人が、少なからずいると思うんですね。

たとえば、顔を拭くタオルが良いものだったり、通勤用の自転車がカッコよかったりすると、QOL(Quality of Life)向上するじゃないですか。
そういうこだわり派な人ために、Smoozは存在していると思っています。

僕もユーザーの1人ですが、SmoozのUIって本当に「かゆい所に手がとどく」ってポイントを押さえている感じがします。それがなければ生きてけない、というわけはないですが、そのかゆい所がとにかく気になっちゃう人向けというアプリなんですね。

―加藤
あとは「どう見られるか」ということについては、けっこう細部まで意識しています。

親しみをもってもらえるように、更新履歴を面白くしていたりとか。



SNSでも好評なSmoozの更新履歴。いつも加藤さんのつぶやきから始まるという面白い工夫が。

ふつうのアプリの更新履歴とは大違い。ついつい見てしまいます。

既存の競合がやってることから極端に違う方向にとがることって、勇気が必要でなかなかできない決断。それでも効果が出てるから、すごいですよね。

成長を急ぎすぎない。ちっぽけシェアでも適切なニーズに、適切な価値を

―Smoozの現在のシェアや、今後の展開ってどうなんでしょう?

―加藤
シェアは全体からすれば、まだちっぽけだと思いますね。

でも今いるユーザーに価値を届けられれば、それでいいと思います。

ユーザー属性について詳しくうかがうと、いまは情報収集感度が高いような人・テック系の人たちがメインとのこと。ただ、もっと多くの人に広めるためにAndroid版のリリース・世界展開も考えているようです。

「でも、それはもう少し先の話」と語る加藤さん。(2017年3月現在)

勢いがある今こそ、認知拡大やチャネルを広めるべきでは? と思ってしまったんですが、どうして急がないんでしょうか。

―加藤
今のユーザーはテック系の人たちメインですが、それでいいんです。

良さをわかってくれる人に、しっかり適切な価値を提供し続ける。

そうすれば、だんだん口コミでその人たちの周囲にも広まっていくことがわかりましたから。

事実、Smoozは口コミや評価によって認知が広まっていったのだそう。TechCrunchに記事が掲載されたときもアナリティクスをみると、記事からが50%・もう50%は口コミや評価によるアクセスだったとのこと。そのときの経験もあってか、認知の拡大・マスにウケるかはどうかは現段階ではあまり重視していない、とのこと。

―加藤
だれか1人でも心にしっかり刺さるものをつくりたい。

そうすれば、結果は自ずとついてくると信じています。

―加藤
だから、展開を急ぐ前にまずは納得のいくものをつくりあげたい。

それもあともう少しというところまで来ています!

人気に乗じて判断を急がない冷静さ、重要ですよね……

お話を聞いていて思うのは、加藤さんは本当にプロダクトとユーザーが好きで、大事にしているということ。デジマラボもより一層、読者との接点を増やしていこうと思いました!

加藤さん、お忙しい中ありがとうございました。


ちなみに現在、ASTOOLではエンジニアを募集中とのこと。

爆速サイクルで毎日UI/UXを考えられる環境…… なんて羨ましい! 周囲に熱血ユーザーファーストなエンジニアがいたら、声をかけてみてはいかがでしょう。

ではではー。

岡田 孟典 by
AIのリアルを追う、“やってみた”ライター兼エンジニア。過去には、海外向けにチャットボットをリリースした実績もある。エンジニアとしての成長も目指して日々奮闘中。
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