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怖いと思いきや意外に大丈夫。自動運転バスの実証実験に参加してきた

7月18日から23日の期間で、芝公園で自動運転バス調査委員会主催の自動運転バスの実証実験が行われました。

自動運転のニュースは良く聞きますが、乗れる機会なんて滅多にない……! ってことで体験してきたので早速レポート。

今回試乗した自動運転バスはフランスのNavyaが開発した、完全自動運転車として世界25カ国10万人以上の乗車実績を誇る最先端の車両『ARMA』です。

ちなみに、自動運転と一括りに言っても、実際にはどこまで自動でできるのかによって5段階に分類されています。

  • レベル0:ドライバーの操作に直接関与しないもの
  • レベル1:加速・操舵・制動のどれかひとつを自動で行うもの
  • レベル2:加速・操舵・制動のうちの複数を自動で行うもの
  • レベル3:加速・操舵・制動のすべてを自動で行うが、緊急時にはドライバーのアシストが必要
  • レベル4:完全自動運転。ドライバーはいらない

今回の実験は、この中でも最もレベルが高いレベル4でした。それではレポートします!

百聞は一見にしかず。自動運転の様子はこんな感じ

会場の芝公園にいってみると、早速走っているバスを発見。

思っていたよりも安定感のある走り出しです。速度自体は体験ということで遅めではありますが、運転手がいないとは思えないくらいにスムーズに進んでいきます。

完全自動運転バスということでただ公園を一周するだけかなと思いきや、歩行者の飛び出しを想定した場面にも上手に対応しています。

いよいよ乗車!運転手がいないのを忘れるレベル

いよいよ乗車のときがやってきました。

外から見る分には一般的なバスとさほど変わりませんが、内側の違いは一目瞭然。

まず、運転席がありません。ハンドルすらありません。運転席がないぶん外見の割に中が広くなっていて、バスというより電車に近い印象

ロケ車を一回り大きくしたようなサイズですが、15人乗りだそうです。

一番の驚きはXboxのコントローラーが無造作に置かれていること。手動で運転するときはこれで操作するとのこと。遊び心がちょっとこわい。

車内には通話ボタンや監視カメラがついていて、安全配慮もバッチリです。

スタッフの方がタッチパネルで行き先を選択するとゆっくりと動き出しました。外から見ていたのと同様、車内からでもスムーズで、私有地とか空港みたいな障害物のなさ気なところであればもう導入できそうな完成度です。

欲をいえば、もう少し速度を上げた状態を試してみたい……という感想は持ちましたが、思ったよりも遠くない未来に当たり前になる光景なんだろうな、と感じました。

先端技術の結晶。前後左右と宇宙からの制御

世界中で開発競争の進む自動運転ですが、Navyaのバスにはどのような技術が使われているのでしょうか。

スタッフの方の話によると、まず自動運転を行う前に手動で走行ルートを記録させる必要があるそう。(このためのコントローラーだったのか、、、!)

実際の道路の状態や、ルートの位置情報を

  • 2Dセンサー(前後左右)
  • 3Dセンサー(前後)
  • 3Dカメラ(前後)
  • GPS

で記録し、安全に走れるという仕組みになっているそう。

ほとんど完成しているように思えるNavyaの自動運転技術ですが、

  • GPSの情報の精度が落ちた場合には自動で停止してしまう
  • センサーの精度が高いせいで、葉っぱが積もりすぎていたり、大きなゴミが落ちていた場合、停止してしまう場合があること

といった問題がまだまだあるんだとか。

地震の多い日本ではGPSのズレは避けられない問題ですし、地方で自動運転をするとなると道路の整備が課題になっていきそうです。

SBドライブCEOが語る自動運転バスの現状と展望

乗車体験、技術解説を受けたあと、今回の体験車両を用意してくださったSBドライブの現CEOの佐治さんに特別にインタビューに協力していただきました。

―自動運転の実用化はどこまで進んでいるのでしょうか?

―佐治
フランスでは路上実験がすでに始まっていますし、技術的にはすでに公園や、空港などの整備されたところでは使えるレベルになっています。日本でも企業や自治体による期待の声は多く寄せられているのですが、何しろ「見たことも乗ったこともない」というのが現状で、信頼性が十分なのか判断のしようがないというのが現状でしたね。

なので、この状況を変えるためにも一人でも多くの方に試乗してもらいたいです。実際に体験した方々からは体験前よりも導入に前向きになったという意見をもらうことが多く、購入を望まれる方もちらほらいるんです。

―佐治
田舎に行くと、バスが一日1往復しかしていなかったりするじゃないですか。あれって運転する人がいなかったり、人件費がかかりすぎてたりするからなんです。そういったところに自動運転バスはマッチすると思いますよ。

田舎出身者からすると、交通の便の悪さは大きな問題です。実際、毎年のようにバスの路線が廃線になっていきますし。

自動運転車の導入はそういった問題解決の切り札になりそうです。

乗って初めてホントがわかる

乗ってみるまで完全自動運転の実用化には半信半疑でしたが、今回の実証実験を通して、ニュースの中だけの世界がすごく身近なものになりました。

スタッフの皆さんや体験者の表情は、きたるべき未来を象徴するかのようにとても明るかったです。

日本での本格的な導入にはもう少し時間がかかりそうですが、乗車体験できる場が増えていくことで、導入への波が一気に加速していきそう。貴重な体験をありがとうございました!

小出 拓也 by
イギリスでの大学生活を経て、日本へ。最新テクノロジーを取り入れた生活にとにかくはまっている。日本語でも英語でも滑舌はよくないが、気合いで乗りきるタイプ。