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マーケターに「生の現場データ」を提供する。reactiveがAIファーストで仕掛ける次の一手

おはようございます。飯野です。

機械学習を用いた画像解析が誰にでもできる!と話題のGoogle Cloud Vision API。ですが、実はこれにやたら格好良いデモがあるってこと、知っていましたか?


今回はこのデモを作成したreactiveで、画像解析がマーケティングに与える可能性についてインタビューを実施。先日も手書き日本語文字認識システムで僕達を驚かせてくれたreactiveが、次は何をしかけようとしているのか。

FounderでCEOの飯沼さんに直撃してきました。

2017/2/27にReactiveはCogent Labs(コージェントラボ)に社名変更しています

GCP Nextで世界を驚かせた Cloud Vision APIのデモ

―早速ですが、あのデモとてつもなく格好いいですよね。画像から情報がリレーションしていく感じが明確に分かりますし。

―飯沼
ありがとうございます。あのデモはGoogleのAIチームフェローであるJeff Deanがサンフランシスコで行われたGCP Nextで発表したものですね。

wikimediaから集めた約8万個の画像、その中に含まれたそれぞれの情報をGoogle Cloud Vision APIで抜き出し、reactiveのクラスタリングモデルで仕分けし表現したものになります。

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この右側にでている数値がGoogle Vision APIを活用して解析した結果と、その確からしさですね。なるほど。

reactiveのクラスタリングモデルの精度は非常に高く、例えばドリンクの写真がアルコールなのか? それがカクテルなのかビールなのか? という細かいところまで解析することができるんだそう。

「画像を解析してクラスタリングする」と文章で書くとシンプルですが、応用の幅はかなり大きそうです。

―飯沼
実はですね、いまこの仕組みを使ってさらに面白いことをしてるんです。せっかくなんでちょっとお話ししますね。

リアルなソーシャル情報から未来の予測まで? 「推測する」画像解析

―飯沼
今年の6月ごろにデモと同じ仕組みを使って、Instagram, Twitterなどで日本人がハワイのオアフ島でポストした画像5万枚を解析してみました。

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―飯沼
写真を撮ってSNSにあげるということは、何かしら本人たちが「すごい」と思ったものが画像の中に隠されているはずなんです。
つまり、画像を解析することで日本人がオアフ島で何に興味を持っているか。簡単にわかってしまうってことです。

いままで有効に使えていなかったソーシャル上の画像データを、AIを介して「使えるデータ」にすることで、めちゃくちゃ価値のあるマーケティングデータにしちゃうってことですね……!!

しかも時系列でデータを溜め込めるので、株価の予測のようなことがマーケティングの文脈でもできるようになるとのこと。今回のSNS画像の件で言えば、どんな写真が今後あがりそうか。今までのデータから予測できるってことのようです。

今までは広告代理店が作っていた予測データ。費用もけっこうかかりますし、出されたデータの真実性がどのくらいあるのか、判断は難しかったはず。

このシステムを使えば、気軽にタイムリーなデータ、今後の予測データがリアルなソーシャル情報からとることができる……。旅行や観光関連の企業に限らず、喉から手が出るほど欲しがる企業は少なくないと思います。

予想する市場ニーズと、リアルな市場ニーズの乖離。『Social Behavior』を可視化する

―分析してみてわかった面白い事実とかってありますか?

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―飯沼
結構面白いことがわかりましたよ。僕は自然が好きなので、ハワイにいったら山とか海とかの写真をとるイメージがあるんですけど、データをみると違いました。
実際には部屋のインテリアや夜の景色、フードの写真が多かったんですよ。

ふむふむ、確かに意外です。旅行代理店の企画ツアーでも自然をメインに組まれているプランも多いとは思うんですが、実はプランで推すべきところは違うのかも……?

このデータを元に考えれば、オアフ島の企画ツアーは、夜や食事、または部屋のインテリアをどう見せるか?という観点で組んであげた方が日本人は選びやすいってことなんでしょうね。きっと。

予測されるニーズと実際のニーズが乖離している、なんてことはよくある話ですし、ストレートにニーズを知る手段として、これ以上の方法はないのかもしれませんよね。

作るまでたったの一週間!?

―この前のハンドライティングのシステムも開発期間が短かったのが印象に残っているんですが、今回のシステムはどのくらいで開発できたんですか?

―飯沼
1週間ぐらいだったと思います。元となるプラットフォームがありましたからね。
といってもGoogleのデモも2週間ぐらいで作成しているんですけど。

あのデモはたったの2週間ですか!? いつもいつもびっくりしますがなんでそんなスピード感でできるのか、めっちゃ気になります。

―飯沼
僕はセールスフォース社で社会人としての経験を始め、気が付いたら15年間常にお客様に対面させていただいておりました。徹底して問われたのが顧客視点、ROIの創出です。その中でも、けっこう抜けがちで、よく指導していただいたのが、スピードと言う時間軸の考え方でした。

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なるほどです。確かにROIを語るときにスピードという観点は抜けがちかもしれません……。飯沼さんは続けてこんな例え話もしてくれました。

―飯沼
「100円を1000円にしてあげるよ。」 そう言われたときに「1000円ぐらいなら別にもらわなくても……」って人も多いと思うんですが、いまこの瞬間テーブルに出した100円を1秒後に1000円と交換してあげる、と言われたら100円出さない人はいないですよね。

スピードの重要性を考える上で、すごく説得力がある例えです。reactiveはそういった考えのもと、モックアップやデモなどスピーディーに作ることを強く意識しているそう。ただ、意識だけではこれだけスピーディーに作ることは難しそうな印象もあるんですがどうなんでしょう。

スペシャリストたちをつなぎ、AIエコノミーというビジネスを目指す

―飯沼
もうひとつ、コツはあります。専門性をもった他の企業とうまく協業することですね。
それぞれのビジネスのスペシャリストがAIというインフラの上でビジネスを展開すれば、大手ができないこともスピード感を持って行うことができます。

それぞれの企業がもっている専門性をつなぎ、AIを合わせることで、スピーディーにソリューションを構成できてしまう。そういう時代なんでしょうね。というかこれが一番のAIの可能性なのかもしれません。

実際に今回紹介していただいたのSNSの画像解析ソリューションも

  • webのクローリングに高い専門性を持つ企業
  • 情報のタグ付けや情報の整理を得意とする企業
  • reactiveのAIソリューションとクラスタリングモデル

が協業したことで1週間という短い期間で作ることができたんだそう。

多くのローデータを集めて、整理したのちにAIで解析する。この企業間での役割分担は非常に参考になります。いろいろなところで使えそうですね。

日常に溢れる情報を『活用しやすいデータ』に。AIでもっと加速するビジネスの可能性

―飯沼
ビッグデータとAIの活用推進。ご存知の通り政府も力を入れています。この取り組みを加速的に進めるためにもまず日本の企業にある膨大な情報を『活用しやすいデータ』に変えていく必要があるんじゃないかな、と。

いま目の前にある情報でいいんです。ドキュメントでも日々のミーティングでも、いま知りえた情報、また過去から蓄積された情報、それを『活用しやすいデータ』にするためにAIを適用してあげる。これからのAIのひとつのポイントだと思っています。

情報はたくさんあるし、ドキュメントデータもたくさんある。日常的にミーティングもするし、板書もとったりする。けどそれらって確かにテキストデータになってないですし、板書も画像データになってるだけなんですよね。使えるデータになっていない。

今回のSNSの画像のように、いままで有用に使えてはいなかったけれど、いざ使えるデータにした途端にとんでもない価値を生み出すモノってたくさんまだまだ世の中に溢れていると思います。

そういう意味ではそこらじゅうにビジネスアイデアは転がっていて、「なにか使えるデータにできないか?」という観点でいろいろなモノゴトを見つめてみるのも面白いのかもしれませんね。

今回の取材を受けて、ますますこれからのAIの可能性、そしてreactiveがどんなプロダクトを生みだすのか楽しみになりました。

飯沼さん、お忙しいところありがとうございました!

Reactive Research Seminarが開催されます

  • 最新の人工知能について理解を深めていただくこと
  • 様々な分野の研究者の方々が交流を深め、人工知能活用の可能性を探る一助になること

を目的としたイベントを10/28にreactive主催で行うそうです。

なんと、理化学研究所の甘利氏も登壇するんだとか。興味ある方は参加してみてはいかがでしょうか。
>> 詳細はこちら

デジマラボもプレスで参加します!

飯野 希 by
BITAデジマラボ編集長。前職はメーカーのユーザビリティエンジニアとして活動。ビットエーではデータサイエンティストとしても活躍しつつ、デジマラボを軸をした事業開発をおこなう。