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中1で中3レベルの数学力!?人工知能型教材『Qubena』が挑む、未来の教育とは

突然ですが、子どものころに勉強していて、こう思ったことってありませんか?

  • どこが理解できてないのかわからない
  • 勉強っておもしろくない
  • そもそも何の為に勉強してるんだろう

それもそのはず。一般的な教育って、一方的な講義形式で行われていて、受けてる人それぞれの理解度に合わせることは非常に難しい。結果、途中で聞き飽きてしまったり、モチベーションも上がりにくく、「テストがあるから勉強する」なんて風にもなりがちでした。

今回は、そんな教育の形を変えうる、人工知能型教材「Qubena(キュビナ)」を提供する株式会社COMPASSに取材してきました。

簡単にQubenaについて説明すると、

  • タブレットを使って算数、数学を勉強することができる教材
  • 問題を解くと、回答スピードや手順、正誤を分析してつまずきポイントを特定
  • つまずきポイントを解消するような問題を、人工知能が出題
  • 使えば使うほど、その子どもにあった教材になっていく

といった感じ。今までの教材とは全然違う……!

COMPASSではQubenaアカデミーという塾の運営もされていて、そこで子どもたちにQubenaを使った学習体験を提供しているとか。

答えてくださったのは、CEOの神野さんと、子ども達の先生(?)をされている常盤さん。

未来の教育の形についてワクワクさせられるインタビューになりました。

現状の問題数は30,000問。学習し続ける教材「Qubena」の緻密な仕組み

―さっそくですが、Qubenaってどんな仕組みで動いているんですか?


神野元基:株式会社COMPASSのCEO。著書に「人工知能時代を生き抜く子どもの育て方
―神野
Qubenaでは、子ども一人ひとりの教材上のアクティビティログをとっているんですね。ここでいうログというのは、たとえば、解答に何を書いたかはもちろん、計算過程で何を書いたか、それぞれの計算にどれくらい時間がかかったか、ヒントを何回見たかとかです。

このログと数学を論理構造に細かく分けたものとを照らし合わせて、その子にとって一番適切な問題を選び出しています。

なるほど。1人で問題を解いても、どこまで自分が理解できていて、どこが理解できていないかがわかるような仕組みになっているんですね。それを人工知能が分析した上で、解くべき問題まで選んでくれる……。なんという未来感。。

―神野
子どもには、問題を解くことだけに集中して欲しかったんですよね。過去にあった教材ってごちゃごちゃしてて、問題を解くこと以外の機能が多かったと感じてます。だから、作り込む上で、子どもにストレスを与えないシンプルなデザインにするように気をつけてました。

「あくまで子ども達が効率よく勉強するため。」そこから目的をずらさずに達成するにはどうしたらいいか考えた結果、今の形に落ち着いたんだそう。

実際に効果も抜群にでていて、Qubenaを使っている子どもには、中学一年生でも中三レベルの問題をとける子どもがいたり、中学一年生の一学期分の量を2週間で終わらせてしまったり……。数値をみるととんでもない成果ですね。。

逆に、どれだけこれまでの勉強に無駄があったか、ということを示す結果だとも言えます。

ティーチングはすべてAIにやらせて、人はコーチングに注力する時代に

―Qubenaを使えば、学校や塾に行かなくても家でも勉強ができてしまう気がするんですが、Qubenaを使っている塾の教室マネジャーは何をされているんですか?

―神野
人工知能にできないことは何かって考えたところ、モチベーションを維持させたり、習慣をつけさせたりするところなんですよね。

いくら人工知能が「勉強しろよーーー」って言っても電源を切られたら終わりなので(笑)

だから、「気持ちが乗らない」だとか勉強する理由っていう部分をコーチングするのがQubenaマネジャーの役割です。

教える部分はテクノロジーにすべて任せて、それ以外を人間が補うってことですね。

今後こういったサービスって成果が出ることを認められれば、どこかの学校だったりでドバっと導入されることもあるとは思うんですが、となると、学校の先生がこれまでやってたことがなくなってしまうような気がします。


COMPASSが運営されている実際の教室の様子。子どもたちが自習できるようなスペースが用意されている。
―神野
仕事がなくなりそうな気がしますよね(笑)

ただ実はそんなことって全然ないと思っています。

まず、学校の先生ってすごく忙しいんですよね。だから解決できていない問題ってたくさんあります。
例えば、いじめの問題。ずっと問題としてはあがっていますけど、全然解決されてないですよね。

確かに、知り合いにも学校の先生がいますが、いろいろなタスクで押しつぶされそうになっています。先生は、そういった、人工知能ができない難しい部分に挑戦して、もっと人にしか解決できない課題に注力するというのがあるべき姿なのかもしれません。

教える部分はテクノロジーに任せるとしても、人工知能が出てきても忙しいままなんでしょうね。

なんだか自分の子どもとかが学校に通うころにはどんな教育がなされているんだろう……なんてちょっと考えてしまいました。いろいろと学校の課題が解決されてればいいですけど。。

といっても、まだまだ人工知能に教わってちゃんと成果がでるのか? というのも半信半疑なところも正直あるんですが。。。

―神野
そういう親御さんも多くいらっしゃいます。

実際、僕らがどういった教育をしているのか、現場のマネジャーに聞いてみますか?

ぜひ! ということで、Qubenaアカデミーの現場マネジャーをされている常盤さんに、現場でどのような業務をおこなっているのか聞いてみました。

子ども一人ひとりの調子までわかる。デジタルが可能にする子どものサポート

― 子どもたちに対して普段どういう接し方をされているんですか?

―常盤
神野から話もあったと思うんですが、子どもたちに勉強自体は教えていなくて、どちらかというと問題を解く際の注意点を教えたり、モチベーションの管理をしています。
計算式を書く理由とか、問題を一緒に読んであげたりとかですね。

実際の教える部分に関しては、Qubenaに全て任せている状態です。


*マネジャーにはリアルタイムで、子ども達の回答数、スピードといったアクティブログが送られている。これを元に子どもに声掛けをしていく。

つまり、ティーチングではなくコーチングをしている、というイメージなんですかね。

マネジャーの元には、子どものアクティブログが送られてきて、過去のデータと比較した集中力もわかるんだとか。普段のコミュニケーションだとわかりにくい変化にも気づけそうです。

ただ、子どもたち一人ひとりに合わせて、コーチングすることってすごく難しそうですが……。

―常盤
今現状、コーチングは先生一人ひとりの属人性に任せている部分があるんですよね。

なので最近では、コーチングに詳しい方を呼んで先生たちで勉強会を開くなど、子ども一人ひとりに合わせた声かけができるようにしています。

―常盤
Qubenaアカデミーでは、勉強を効率化して空いた時間でSTEM教育(*)を8/1から開始します。

いままでもSTEM教育を実践するために、VRやドローンを使ったワークショップなども行ってきましたが、コースとしてやっていきます。

※STEM教育とは

  • Science(科学)
  • Technology(技術)
  • Engineering(工学)
  • Mathematics(数学)

の頭文字をとったもので、理数系分野に特化した教育のこと

コース開講のプレスリリースはこちら

楽しそう! っていうのはさておき、子ども向けのプログラミング教室とか3Dプリンタが使える教室みたいなのはよく聞きますが、数学までできるものってなかった気がします。こうした教育が受け入れられるためにも、塾だけではなく、子どもの親も新しい教育に対するリテラシーをもつ必要がありそうです。

AIはあくまで手段。Qubenaを作って実現したかったこと。

―Qubenaもそうなんですが、人工知能によって、今までの社会が大きく変わると思うんですが、これから子どもには何を教えるべきですかね。

―神野
まだ、思考途中なんですが、今言えるのは、能動思考が大事だと思っています。これは、「何かをやりたい」ていう気持ちなんですが、今の時代って、一人のできることが広がっているので、やりたいことががどんどん実現できる時代なんですよね。

ってなると、やりたいことがない子が差をつけられてしまう。だから、その子が必ず持っているだろうやりたいことを醸成していくことが大事だと思っています。

やりたいことさえあれば、ネットでお金を集めることもできてしまう時代。だからこそ、逆にみんながやりたいことを持って取り組むと、どんどん世界って面白くなりそうですよね。

Qubenaというツールだけでなく、教育環境としても新しいことにチャレンジされているCOMPASS。この環境から将来どんな子どもがでてくるのか非常に楽しみになります。

子どもも教師も、人間にしかできない分野で活躍している未来を実現していきそうですね。今後の展開にも注目です。

小野寺 雄大 by
「曲がったことが大嫌い」が信条。デジマラボではマーケティング全般の記事を担当。その他、クラウドファンディングやHR-Techになどに強みがある。