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Yes or No の「提案」をやめよう。企画の達人が教えてくれた ”巻き込む” 資料の作り方

はいどーも。お久しぶりです。中村です。

今回は、僕自身も一度(超臨時で)登壇したことのある『企画・提案書チラ見せナイト2』というGoodpatch主催イベントのレポートをお届けしようかなと。

割とカツカツなスケジュールで行くかどうか迷ったんですが、佐藤ねじさんとタキザワケイタさんという超豪華な講師陣がナマ企画書をまんま公開してくれるらしい。てな話だったんで無理くり行ってきた感じです。はい。

(※ぶっちゃけ既に数ヶ月前のイベントのレポートなんですが、色々忙しかったんですゆるしてくだしあ)

企画書っぽさを捨てよう。佐藤ねじさんの語る「ポンチ絵と文字」のパワー

佐藤ねじ
1982年生まれ。面白法人カヤックのアートディレクター。「空いてる土俵」を探すというスタイルで、WEBやアプリ、デバイスの隙間表現を探求。主な受賞作に、Yahoo!クリエイティブアワード グランプリ、文化庁メディア芸術祭 審査員会推薦作品など。

『しょぼい企画書』でいい。手書きの持つ圧倒的熱量とスピード

つい最近も話題になった「レシートレター」や、「きれいなゴミ」「しゃべる名刺」「すごいWEB」などなど。

常に「なんだこりゃ?!」と見る側に感じさせつつ、様々なモノの可能性を広げる企画をぶっこんでくる佐藤ねじさん。

スライドの公開はNGとのことでしたので、見聞きした内容をざっとまとめるてみたいと思います。

企画書はビジュアル的な見た目の作り込みより、中身勝負

  • ポンチ絵(サッと描いた手書きのイメージ図)+文字オンリーが基本
  • ポンチ絵は、状態遷移や動き、音を想像させやすく概念を伝えやすい
  • ポンチ絵は、暖かみがあって、意外と年齢層高めの偉い人達にウケたりもする
  • ポンチ絵は、イメージ制作の時間短縮になる
  • その分、アイデア出しに時間をかける(10案、100案と数を出す)

ねじさん曰く『とにかく企画書を美しく作ってしまうと時間が掛かり過ぎる』とのこと。

出す ⇒ 捨てる ⇒ さらに出す ⇒ 一緒に詰めていく(ギリギリまで考えるほうに力を割ける)というバランスを取りやすいよう、手書きと文字という手法をとっているんだとか。

企画書の本質は中身で、その本質を高めるのは誰かと一緒に考える過程でいくつ出して捨てられるか。ってことですよね。多分。

知っているつもりで、やっているつもりで、まだまだ全然足りてなかった…ですね。いややっぱ半端ないっすわ。

※手を離れてクライアント社内を回ってしまうような企画書(補足不能なもの)についてはちゃんとキレイに作ってるらしいですが

A4一枚にまとめるといい

  • かなり大掛かりな企画も、A4一枚の企画書から生まれてたりする
  • ミッション、ソリューション、リザルト、KPIをA4一枚にまとめる
  • それの何がスゴイのか、個人目標、マイルストーンなんかも書き込む
  • もちろんこれも手書き

これまたビックリしました。というか軽く絶望しました。

多少なりとも企画書とか作ったことがある人なら『A4一枚にまとめる』ってのがどれだけ難しいことなのか想像つくと思います。

何でもそうですが、短くシンプルにまとめる方が難しい。

だってそれをやるには要素を絞らなきゃいけないわけで、となると掲載要素をカットし尽くさなきゃどうにもならないわけで…。

つまり「何がその企画書において本質的価値なのか?」てのを完全に言語化した上で明確にイメージができていないと無理なんですよこの手法。

キモはミッション(やること)やソリューション(何をつくるのか)、リザルト(結果どうなるのか)、個人目標(~を目指したい)、マイルストーン(やる段階と手順)まで分かりやすく入れること。

…らしいんですが、正直「なるほどやってみよう!」とするには難度ハイエンドな感じでした。悔しいのでとりあえずトライしてみようと思います。

企画の素はアイデアメモと2度練りレビューから

  • 動物園で食べた飯がマズイ ⇒ 動物園レストランとか面白そう…?くらいの「話のネタ」でOK
  • フワッと思いついたネタはとりあえずスマホでメモ
  • 普通のものは「●」いけてるものは「★」を付けておく
  • 週一でネタの棚卸し ⇒ 紙のノートに手書きで移す
  • この時それぞれに「何にどう使うのか?」を考えて書き加える(ここでネタがアイデアに変わる)

実際に上記で紹介してもらったネタメモやアイデアノートも見せて貰ったんですが、とにかくネタ ⇒ アイデアの転がし方そシンプルで面白いんですよ。

で、曰くこの転がしは超人的なひらめき…というよりは「転がして考えた回数」でもってスキルとして身につき、内容がブラッシュアップされていくとのこと。

ねじさん自身、上記手順をライフスタイルに組み込んで「平日に書き溜めたネタを土日の夜、子供を寝かしつけた後に必ずやる」というルールにしているんだとか。

確かに、仕事として企画を出さなきやいけなくなったからいきなり勉強して出してみる。なんてやり方じゃ、人を惹きつける企画なんてできるわけないですよね。

いやはや、勉強になります。


自分だけでは生み出せないクリエイティビティを!タキザワさんの語る『ワークショップ』の本質

タキザワケイタ(プランナー・ワークショップデザイナー)
イノベーション創発・ブランディング・サービスデザイン・プロモーション・商品開発など、企業が抱える様々な課題の解決に向け、ワークショップを実践し、プランニングをおこなっている。 宣伝会議「第4回販促会議企画コンペティション」グランプリ受賞・商品化。 http://takizawakeita.tumblr.com/

ワークショップをやってアイデアが出てくるなら、苦労はない

イベント2つ目のセミナーで登壇してくれたのは、販促アイデアを企画書で競うコンペティションで、「365チェキ」がグランプリを受賞し、商品化。また、大手企業からベンチャーまでワークショップの依頼が途絶えず、引く手あまたなプランナー・ワークショップデザイナーのタキザワケイタさん。

王道かつ正統派でありながら、着想を形にしていく上でのヒント盛りだくさんなセミナー内容を以下にまとめてみました。

>>実際の資料スライドはこちら

アイデアまでのプロセスと場をデザインする

  • 一人でもとことん考え抜けば、良いアイデアは生まれる
  • でも、チームであれば自分の限界を超え、無限の可能性が広がる
  • ただし、ワークショップをやればよいという訳ではなく 「ひとり一人の脳みそを活性化し、全員の脳みそを1つに混ぜ合わせる」その為のプロセスと場のデザインが必要

肩書に「ワークショップデザイナー」と入れているタキザワさん。なんつーか、もう流石です。

タキザワさんの場合、自分たち制作・企画側のチームオンリーでコンセプトや企画の骨子を作ってそのままぶつける ⇒ やるやらをクライアントに判断してもらう…という(あるあるな)フローをあんまり採らないそう。

可能な限りワークショップにクライアントも巻き込み、チームビルディング、課題・目的・ゴールの共有、リサーチ、アイディエーションなどを一緒に進めてしまうんだとか。毎回、案件に応じてオリジナルのワークショップをデザインしているらしいです。

ちょっといまいち上手く言い表せないので、具体的に例を出すと以下のような感じ。

  • 女性向けブランドのコンセプトをつくるワークショップ
  • 街のネーミングをつくるワークショップ
  • 新しいスィーツを開発するアイデアソン
  • 新しい働き方をデザインするワークショップ
  • 新卒採用面接ワークショップ

などなど。正直驚きました。「おぉ。そんなんまでワークショップでやっちゃうんだ…」と。

だって、クライアント側の人間はその道のプロのはずですが、そのワークショップを企画する側のタキザワさん達は別にその道のプロってわけじゃないはず。

にも関わらず、ほぼ経営会議で会話されるような内容を一緒に悩んで一緒に考えて、アイデアや企画にしてっちゃうってことですもんね。これ。

ちなみに、ワークショップと平行して制作される「企画書フロー」も教えていただけたので、以下メモ。

アイデアが企画書になるまで

  • ひたすらアイデアをひねり出す
  • そこに居ない人に伝わるよう「アイデアスケッチ」を描く
  • ページネーションでストーリーをつくる
  • 企画書にする

僕自身はこれまで、まずフワッと脳内で考える ⇒ ちょっと人に相談して壁打ち ⇒ 手書きで下書き ⇒ 速攻パワポ…みたいなフローでこれまでやっていたんですが、正直「これでいいよね」と思っていた自分を反省させられました。

意見をちゃんと言えない奴が悪い!てな考え方もまぁあるこっちゃあるだろうとは思うんですが、それをなんとかするための策と具体施策をワークショップとして落とし込めればもっと面白いネタ転がしができた…の、かもしれない。

今回はそんなことに気づかせていただいたセミナーとなりました。

当日もセミナー後に『あなたにとって企画書とは?』というお題でワークショップを開催。参加者全員をいくつかのチームにわけ「NUCUBE」というツールを使ってやってみたんですが、出るわ出るわ ”自分だけでは考えつかなかったであろう観点と視点” が盛りだくさんでした。


ワークショップツール「NUCUBE」

上田信行(同志社女子大学教授)がコンセプトをデザイン。文房具の未来形は、人に思いを伝えるパワフルでインティメイトな 「Making Thinking Visible」ツール。パーソナルコンピュータ(PC)から、プレイフルキューブ(PC)ヘ。NUCUBEは、5cmの小さな箱。箱の6面にアイデアを外化することで、コミュニケーションをプレイフルにするツール。

1つの面に今回のテーマ「企画書とは?」と「名前」を描き、セッションを聞きながら気になった「キーワード」をメモる(5つ)

キーワードをつなげて発表 ⇒ 感想や気付きを共有 ⇒ キューブを隣の人に渡して「書いた人の気持ちになって代わりに発表」 ⇒ 本人が発表 という流れ。

講師であるタキザワさんとねじさんも一緒になって参加し、同じセミナーから得た「気づき」を本気で共有。

そこで生まれる新たな観点と、そこに生まれるストーリー、言葉、アイデアの量と質に全員ビックリしてました。

まとめと感想

ラストは講師それぞれが「今日のセミナーまとめ」みたいな総論を話してくれたんですが、これがまたシンプルに脳内に焼き付けておきたい言葉でしたので以下共有しておきますね。


ねじさんのまとめ
企画書は予言書です。見ていて楽しいと感じさせて、見た人の情報解像度が上がるために企画書って存在してるんだと思っています。だからこそストーリーが大切で、だからこそ数とスピードが大事なんですよね。

タキザワさんのまとめ
企画書を「提案」しちゃうと、受け取る側は「良いか悪いか」の二択で判断してしまう。そうでなく、一緒により良い物にしていく為の「コミュニケーションツール」になっているべき。
その為には、美しい企画書なのか、すぐ描き直せる手書きスケッチなのか、それともワークショップが有効なのか? その手段からデザインしていくことが大切だと思うんです。

もうまさしくですよね。

僕自身も、今回聞いた内容をそのまま「なるほど手書きのツールがあればいいんだな!」とは受け止めず、様々なシーン・メンバー・ネタに応じて最適なコミュニケーション方法は何か?を考え続けていきたいと思います。

改めまして、ありがとうございました!そしてレポート大遅刻して申し訳ございません!

デジマラボ 編集部 by
BITAデジマラボ編集部です。最新Tech界隈の「なんかすごいね」を、『現場の提案』にするための情報をけっこうがんばってお送りします。
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