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「若い女性に電力会社を身近に感じてもらいたい」 難題をSNSのプロ マインドフリーはどう解決したのか

SNS運用で求められるゴールっていろいろ。

「それは難しくないか……?」なんて目標を設定されてしまって悩んでいる企業さんも多いのではないでしょうか。

今回は「電力会社をInstagramで女性にアピールしたい」なんて難題を華麗に解決したSNSのプロ マインドフリーの谷口さんに具体的にどうやってSNS運用を進めていったのか、詳しく聞いてきました。

谷口さんはソーシャルディレクターということで、SNSまわりの話も伺いました。

どのSNSでも考えなくちゃいけないことは同じ

―今はいろいろなソーシャルメディアが生まれては消えていきますよね。もうどのチャネルを使えばいいのかわからない!というマーケティング担当者も多そうですが……

―谷口
そう感じている人は多いと思います。

FacebookやTwitter、Instagramといった主要SNSだけでなく、最近はMastodonが注目されていたり、他にもいろいろSNSがありますよね。SNSが乱立しすぎていて 実際知り合いのSNS担当者さんからも「もう何がなんだかわかりません」と言われました(笑)

ただ、もちろんSNSごとに特徴はあるんですが、最近は 運用のときに考えないといけないことはいつも同じかもしれない……と思うようになりました。それは、「クライアントはSNSを使って何をしたいのか? 課題の本質はどこにあるのか?」ということです。

―谷口
今回お話する関西電力さんの「電力会社をInstagramで女性にアピールしたい」なんていうちょっと難しそうなオーダーを解決したのもそういった思考があったからこそです。

実際にその事例での仕事の進め方をご紹介しますね。

関西電力では、電力自由化時代を勝ち抜くための企業イメージの向上を目指し、今まで接点がなかった若い女性層にアプローチする手段としてInstagramが使われていたんだそう。

>> 関西電力 Instagramアカウントへのリンク

ただ、マインドフリーが運用コンサルに入る前は、いろいろと施策は打っていたにもかかわらず 投稿への女性の反応比率は20%程度という状況。

―谷口
若い女性にアプローチしたくて始めたはずなのに、実際に興味を持ってくれているのは男性ばかり。

また、ひとことに若い女性といってもさまざまな人がいますが、具体的にどんな人達に どんなイメージを持ってもらいたいのか? という部分がふわふわしていました。

なので、まずは関西電力Instagramの方向性を一緒に固めていくことからはじめたんです。

その作り込みは本当に大変だったそうで、何度も議論を交わしながら施策を組み立てていったんだとか。

誰に何を届けたいのか? 何をやるにしても大事なポイントですが、どうしても後手後手になりがちですよね。

なんのためにInstagramをやるのか

―谷口
関西電力のInstagramの軸を決めるにあたって、過去の投稿をさかのぼっていると、働く作業員の投稿を見つけました。実はこれ、関西電力のFacebookではいつも人気が出る切り口なんです。でもInstagramでは男女ともにほとんど反応されていない。

それで関西電力さんと話していたのは、そもそも働く作業員の画像を見ても、女性の大半は共感できないんじゃないか、ということです。

―谷口
ですがこの差を見て、関西電力という会社が電力自由化時代を勝ち抜くためには、電力会社に興味のない彼女たちにこそ向き合わないといけないと感じました。

つまりこのInstagramの役割は最初から電柱やマンホールに興味があるような人達にアプローチする手段ではなくて、自分と関西電力は無縁だと思っているような、世の中の普通の女性にこそ共感されるSNSにならなければいけないと思ったんです。

なぜなら、この人達こそ今までアプローチできていなかった層であり、そして電力自由化時代に最初に関西電力から離れていくのもきっと彼女たちだからです。

―谷口
私自身、大変失礼な話ですが 関西電力さんの担当になる前は自分と電力会社は遠い存在だと思っていました。でも、本当はそんなことないんです。

たとえば友達と待ち合わせしているときのイルミネーションも、恋人と見た夜景も、憧れのYouTuberが使っている美容スチーマーだって全部電気がないと成り立たない。本当は電気って若い女性たちにとっても無縁なんかじゃない、むしろすごく身近な存在なんだよ! というのをちゃんと伝えたいし、そうすべきだと思いました。

そのためには、今までFacebookなど他のメディアで発信してきたような「作業員」「鉄塔」「過酷な環境下での作業」という見せ方ではむしろ逆効果です。

なのでよりリアルな女性の日常に寄せ、人気のイルミネーションスポットや憧れの夜景、そういう場所の光も実は関西電力が支えているんだ!という見せ方に変えることで、電力会社をもっと身近に感じてもらおうと決めました。

仕事の依頼主と請負人から共に戦う戦友へ

―谷口
結果、この施策では関西電力さんが今までFacebookなどで積み上げてきた実績や成功事例とはまったく違うことに挑戦することになりました。それは関西電力さんとしても、そしてもちろん私たちとしても勇気がいることです。うまくいかなかったらどうしよう、という不安も正直ありました。

なので、クライアントさんとの信頼関係がとても大事でした。

確かに、思い切った施策の実施ならなおさら、クライアントとの関係性は重要ですね。

―谷口
特に、『仕事の依頼主と請負人』というよりむしろ『戦友』のような、一緒に泣いたり笑ったりできるような関係になりたいと思いました。お互いを知り、距離を縮めて初めて言い合える本音があったり、会話の中でお客さんの本当の課題に気付くこともあると考えたからです。

だからこそ、ふだん仕事をする時も等身大の自分で、あえて固すぎないトーンで話をしたり、電話では世間話や雑談をする時間を作ったり。もちろん仕事じゃないといけないけど、どうやって仕事感を減らすかを頑張っています(笑)

そうやって関係ができていき、PDCAを回していくうちにこの案件でも少しずつ成果が見えてくるようになったんです。社会人になってから毎日が戦場だ……! なんて思いますが、その中でもお客さんと背中を預け合える信頼関係を作りあえたらいいなあと日々考えています。

そうやって深い信頼関係を作り、ともに施策を作り上げていった結果、投稿の反応女性比率を元々の20%程度から半年で60%ほどまで引き上げることに成功したんだとか。さらに投稿の平均いいね数も約100件程度から400件ほどに上昇。今ではいいねが1,000件を超える投稿も出てくるようになっているそう。

施策はこれで終わりではなく、今もクライアントと日々施策を実施しているとのこと。女性の割合が増えただけでなく、返ってくる反応の量も底上げされている……なるほど、クライアントとの団結感みたいなのも非常に重要なんですね。

課題を解決するのはSNSじゃないかもしれない

―谷口
よく「Facebookをやりたい」とか「流行ってるからInstagram」といった声を聞きます。でも本当に大切なのは、SNSを使って誰に何を伝えたいのか?本当の課題は何なのか?ということに尽きるんじゃないかって……。

そういう意味では、SNSって種類が多いぶん難しく捉えられがちですが、やっていることはすごくシンプルなのかも。あくまでSNSは目的に対する手段であって、課題解決できるのであれば、いっそSNSですらなくてもいいのかもしれません。

少し冷静になれば本当におっしゃる通りなんですが、仕事に忙殺されていたりすると、その観点が抜けがちになってしまうのもよくあること。

そんな当たり前のことを再認識したインタビューでした。


そんなマインドフリーですが、現在絶賛社員募集中とのこと。気になった方は問い合わせてみてはいかがでしょうか。

>> マインドフリー株式会社 採用ページ

デジマラボ 編集部 by
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