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ユカイ工学『初音ミク×iDoll』人と人をつなぐロボットが実現する新しいコミュニケーションの形

先日『ATRファンドから1億円を調達 家庭向けロボ共同開発へ』と、ニュースにもなっていたユカイ工学が、歌って踊れる『初音ミク ねんどろいどのロボット』を作っている。

2016年2月の一報を受けた時からもうワクワクしすぎてどうしようもなかった現場に、デジマラボ取材班が突撃訪問。

なぜ初音ミク?なぜロボット?そもそも一般販売するの?てかこれそもそも何?…とまぁ、気になるあれこれについて、直接取材させていただきました。

そもそも『初音ミク×iDoll』とは何か?

もうあんまり言葉を重ねても意味が無いんで、ひとまずは以下の動画を見てください。できれば音付きで。(※イヤホン&周りに人がいない場所推奨。ニヤけます。)


2015年のSXSWで発表され、「日本やべぇ」と世界を驚かせたユカイ工学の小型ロボット『iDoll』。これとクリプトン・フューチャー・メディアの人気ボーカロイド、初音ミクがコラボしたモデルで、造形はグッドスマイルカンパニーの提供する「ねんどろいど」モデルが採用されている。

もう、まんまMMDのねんどろモデルが実写化したかのような動き。音楽に合わせて踊り、歌うようにしゃべる姿は、正直かなり衝撃的です。

なんと標準で音声認識機能を搭載し、こちらの呼びかけに答えてくれる。だけではなく、連動するPCソフトやアプリによってモーションの追加や作成までも可能なのだとか。

ようやく開示され始めた詳細情報と、開発にかける思い。発表以来世界的な注目を集めながら、いまいちよくわからなかったその辺の情報を、青木代表に語っていただきました。

なぜロボット×キャラクター?ヒトとヒトの間に入るコミュニケーション設計

既にお伝えしている通り、やや『やりすぎ』なほど作りこまれたこの製品。確かにスゴイっちゃスゴイんですが、何でまたロボットにキャラクター性をもたせて歌って踊らせようなんて思ったんでしょう?

ビジネス的な観点含め、とりあえずそのまま聞いてみました。


―なぜ今ロボットで、なぜ初音ミクなんでしょう?

―青木
単に僕らがロボット好きで初音ミクが好きってのももちろんあるんですが、ここまでこだわったのには、もうちょっと理由があったりします。

ロボットをコミュニケーションの間に置きたかったんですよ。

―青木
コミュニケーションできるロボットって市場のトレンドでもあるんですが、結局まだまだ「シナリオと会話する」ってのが限界なんですね。でも、あえてシナリオと会話したいユーザーなんて存在しない。

だからこう…「かわいいよね?」ていう、感情の共感部分でヒトとヒトがコミュニケーションできる、そんなロボットを作ろうと思ったんです。

なるほど。コミュニケーションの間に入る存在…ですか。

だからサイズは小さく、キャラクターは可愛らしく。というわけですね。

確かに普通に考えれば『ロボットと(シナリオにそって)会話したい!』なんてニーズは存在しないですもんね。コミュニケーションのハブになるコンテンツとして…か。

しかしまぁやりたいことは分かりますが、それにしたってツインテールの髪まで完璧に動かす全10箇所の関節 + 同時駆動させつつ音楽に合わせて踊ってみせるとは。。。恐れいりました。

―青木
まぁ、最初の着手からなんだかんだ足掛け2年くらいかかりましたからね(苦笑)
いよいよ初音ミクが動いて踊った時には、プロジェクトメンバー全員で泣きましたよ。本気で。

ですよね。

僕も目の前で名作『ハジメテノオト』に合わせて踊られた時は泣きそうになりましたもん。

その辺、開発も結構たいへんだったらしく、横でデザイナーの巽さんも大きく頷いてました。

―巽
いや、実際「音と連動して動く」だけでも大事なのに、「より自然に踊ってるようにしてくれ」ですからね(苦笑)
脚を浮かして、ツインテールにも間接追加して、かつそれぞれが連動して制御できるように…って。そりゃ泣きますよ。こだわりのカタマリですもん(笑)

手に入るロボットを。iDollにかける未来

いやはや凄まじい。本当に苦労の連続となった2年間の開発を経て、ついに…!てことなんですね。

―ちなみにこれってアプリやPCアプリとも連動するんですよね?

―青木
ですね。専用スマホアプリ「iDoll Play」を使って設定やモーションの追加、各種モーションの再生なんかをできるようにしています。
それからPCソフト「iDoll Edit」ではモーションそのものを作成する事が可能になるんですよ。

―青木
将来的にはダンスモーションや歌のデータをDLできるようにしたり、MMDのようにユーザーが自由にアップして公開・共有できるプラットフォームに利用できるよう拡張していきたいですね。

素晴らしいっす。

完全に中村の主観ですが、amazonエコーとかsiriみたいな「なんか箱が相手してくれる」UIよりずっとエモい感じがします。

ユーザーが作った名作モーションがシェアされて、企業コラボなんかも走って…。気が早いとは思いつつも、普及した先の未来をつい妄想したくなりますね。

人間の生活になきゃいけないものにしていくために

ちなみにこちらの『iDoll ×初音ミク』モデル。現在のところ発売日と価格はまだ未定ながら、展示品だけでなく一般販売検討中なんだとか。

一人のファンとしてはただ単純に「待ちきれない!」て感じですが、デジマな人間としてもビジネス的な可能性から色々と期待できそうなプロダクトでした。


というわけで、ラストはインタビューに同席していただいた同社のPR担当、株式会社チョコラテの落合さんが語ってくれた言葉で〆てみようかなと。

―落合
今はまだ、個人向けロボットというとエンタメ(娯楽)の域を出られていないのが実情です。
でも、だからこそ私達は彼らを「ヒトの生活になくてはならないもの」にしていきたい。と、そう思っているんです。

ヒトとヒトのコミュニケーションをつなぎ、感情のインフラとしてロボットが必要とされる日を、なんとか作っていきたいですね。

―青木
うん。そうね。そうしていきたいし、していかなきゃだね。
―巽
届いて欲しいですね。たくさんの人に。

やがてロボットというコンテンツが「無きゃいけないもの」になっていく…か。不便を解消するためのソリューションとしてのロボット活用よりは、ずっと人間の生活に溶け込みやすそうな考え方かもしれないですね。

というか、やっぱり日本人的な感性なのかも知れないですが『そうあって欲しいな』と思わせていただくことができました。素敵な時間、ありがとうございます!

ユカイ工学さんの今後の展開、楽しみに追っかけますね!ではまたー

中村 健太 by
数多くのメディアコンサルとコンテンツクリエイティブに関わってきた経験を持つ株式会社ビットエーのCMO。KaizenPlatformのグロースコンサルとしても知られ、2014年より一般社団法人日本ディレクション協会の会長を務める。主な著書に「Webディレクターの教科書」「Webディレクション最新常識」など。