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フコク生命がWatson本格導入。3月までに事務系オペレーター34人を削減へ

リリース:本体 / 毎日新聞社による報道


国内事例としては非常に珍しく、思いっ切り明瞭な(目標とはいえ)数字データ付の人工知能導入告知系リリースが突如公開されました。しかも一般にはレガシーと言われる生命保険業界から。

タイトルからしてかなり衝撃的ですが、以下ちょっと詳細に解説していきましょう。

導入コスト総額は約2億ちょい。それでも『効果あり』と踏んだ年1.4億円の人件費削減プラン

まず今回発表された計画ですが、ざっとまとめると以下のような感じ。

  • フコク生命が医療保険など給付金査定系オペレーション業務にAI導入を決定
  • 病歴・入院期間・手術名など自動読み取り ⇒ 給付金算出する処理を代行
  • 保険契約内容と照らし合わせて「支払い対象となる特例を見つける」なんて処理も
  • 15年3月末時点での職員数は131名。ここから約25%にあたる34人を削減する計画
  • 導入コストは2億+年額1,500万程度らしい

正直『マジか…』という感じもしちゃいますが、確かにこれこぞまさしく『AIが得意とするジャンル』ですもんね。

あんまり詳しいわけじゃないですが例えば…

カルテから名前抽出して病院やら薬局やらの各DBで名寄せ ⇒ 病歴やら入院期間やらを検索 ⇒ 手術名探り出したらその手術に対する直近の支払い金額やら期間やらもろもろ確認 ⇒ 現行の法律やら規約、年中ボコボコ生まれまくる保険商品の約款と照らし合わせて給付金の金額査定………

とか、そんな感じでしょうか?

それはもう どうあがいても人間がやったほうが効率悪い ですし、だからって全DBの連結検索システム作ろう!なんて思ったら、それこそ何十年先になるかわかったもんじゃないはず。

むしろ逆に、そこまでややこしい業務だったからこそ『経験者オンリーの派遣・契約社員さんでOK!』てな部分も多かったんでしょう。リリース曰く『年間1.4億円程度の人件費コスト削減効果アリ』と見越して、契約満了時の後任補充を行わない…ってな方針を採用。17年3月末までに34人を削減予定なんだとか。

エンジンはIBM Watsonを採用。カオスなデータすり合わせに 力?

ちなみにAIエンジンは「やっぱりな」て感じですが、IBMのWatsonが採用された模様。具体的には「IBM Watson Explorer」による「診断書査定自動コード化システム」を構築しての実行らしいので、以下ちょっとだけ公開された仕様から抜粋。

  • 疾病、災害、手術などの判別・分類を自動で行いコード化
  • 診断書等を画像解析し記載された傷病名や手術名をコードで提示 ⇒ 人的査定支援
  • 診断書の経過欄等に記載されたデータから支払事由に該当するキーワードを抽出
  • 抽出キーワード前後の文脈から入退院日や手術日などの日付情報を自動抽出 ⇒ 支払い漏れ防止機能も実装
  • 過去の支払査定の履歴を学習 ⇒ 査定業務担当者の経験やノウハウを継承
  • 導入後は担当者による最終的な査定結果を継続的に学習させ精度を向上

つまり査定結果を自動算出してコード化。これにもろもろのデータが紐付いた状態で確認できるようにすることで、継続的な業務効率化を狙っていく。みたいな感じでしょうか?

生成されるコード自体は人的査定の支援に使うみたいですが、情報の確認とすり合わせの部分はWatsonが担当。導入後も『条件 × 最終査定結果』を学習して精度を上げていくので、以後もどんどん人間の作業量は減っていく…と。

同じ保険業界としては既に導入済みの第一生命、かんぽ生命、日本生命なんかがWatson導入を進めてるらしいですが、まだ「人間によるチェック」を捨てきれず人員の大幅削減は出来てないらしいですし、そういう意味でも今回の事例には注目が集まっているわけです。(※かんぽと日本生命はまだ実証実験段階らしいけど)

人による確認を重要視する『これまでのやり方のシステム化』を狙うべきか

一部を完全に代行させていくなど『システムに合わせたやり方に変えていく』べきか

Watson 一強なのがなんかアレですが、面白くはなってきた感じしますよね。なんとなく。

いよいよ始まる? “AIによる雇用激減” と僕らのとるべきスタンス

さて、年始からいきなりでこういう話が出てくると(リリース自体は昨年末ですが)、いよいよ『人工知能による雇用激減がはじまった!』なんて感じる方も多いかも ですよね。

上図は2015年末に野村総合研究所がまとめたグラフ。国内610の職業に対し、ロボット・人工知能による代替可能率を示したもの。米国&英国に対するデータは同条件で2014年にデロイトトーマツコンサルティング社が報告

一昨年頃からやたらとこの手のレポートがあっちゃこっちゃで公開されましたが、どのレポートにも共通してたのが『だいたい半分くらいの仕事がAIやロボットに奪われるぞー!』てな内容(雑)

それこそ昨年は何度もニュースサイトのネタになっていましたし、行き過ぎて都市伝説のノリで扱われることも多かったような気もします…。

が、フコクの計画しかりこういった事例がこのまま進むのであれば、これはもう『現実的に検討すべき企業にとっての課題解決手段』になってきます。

さて、じゃあ僕らデジマなフィールドで仕事してる人たちは何をどう考え、どう行動していくべきなんでしょう?

願わくば『怖い!』とか『どうしよう!』なんてマイナスなノリじゃなく、『このパワーをどこに使ってやろうか?』と、より具体的に進める側として脳みそ使っていきたいもんですね。

ではまたー。

デジマラボ 編集部 by
BITAデジマラボ編集部です。最新Tech界隈の「なんかすごいね」を、『現場の提案』にするための情報をけっこうがんばってお送りします。