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年末商戦に向けたチャットボットが相次いでリリース、アメリカ小売業の現状

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年末商戦に向けて、アメリカの小売各社が相次いでチャットボットをリリースしています。

Facebookのメッセンジャー上でいくつかの質問に答えることで、適切なプレゼントやお店を教えてくれるといったギフトガイド系が主です。

一人一人の顧客のニーズにきめ細かく応えるだけでなく、会話内容をマーケティングデータとして蓄積していく、といった狙いもあるようです。

米Facebook社が、Facebookメッセンジャー上で動作するチャットボットを開発するためのプラットフォームを発表したのが2016年4月。これを活用したサービスが、早速年末商戦の中で出てきた形ですね。

ニューヨークのチャットボットベンチャーであるSnapsと組んでボットを制作した百貨店大手ノードストロームや、IBMのワトソンをベースに作ったモール・オブ・アメリカなど多種多様。

今回はノードストロームによるチャットボットをご紹介。さらに背景として、アメリカでのチャットボット活用状況にも触れてみたいと思います。

チャットボットへの注目が集まっているとはいえ、アメリカでの認知率はまだ5人に1人。普及に向けた課題もありそうです。

満を持して公開、ノードストロームのチャットボット

全米最大のデパートチェーンであるノードストロームは、同社初のチャットボットを12月にリリースしました。

チャットボットが話題になり始めた当初から、彼らによるリリースは確実視されていたので、満を持しての公開といった形で話題になっています(ただし12月24日までの期間限定)。

その内容は、クリスマスギフトの選定をヘルプするというもの。プレゼントする相手に関するいくつかの質問に答えることで、適切な商品を表示してくれるそう。実際に使ってみました。

実際の使用感

Facebookのメッセンジャーにて、ノードストロームのチャットボットとの対話画面を表示。まず聞かれるのはボットと人間のスタッフ、どちらとやり取りするか。

ボットでは対応しきれない、きめ細かい質問は人間が答えるという形で、チャットボットの作りとしては極めてスタンダード。

チャットボットとの対話を選択して、最初に出てくる質問は「その人は週末にどんなことをするの?」というもの。選択肢は「コミコンに行く」「パーティーを開く」「音楽のプレイリストを作る」「街歩きをする」の4つ。

一応特定の知り合いを自分の中で想定しつつ、答えてみました。

「街歩きをする」を選ぶと、次は「その人の好きなレストランは?」という質問。表示される選択肢は「有名なシェフがいること」「ユニークな食事」「斬新な食事」「世界の料理を楽しめる」。

ざっくりしてて答えづらいなと思いつつ、「ユニークな食事」を選択。すると次は「その人らしい絵文字はどれ?」という質問に対して、表示される絵文字がこちら。

写真撮影が好きな人、という設定で試しにカメラを選んでみました。

次の質問は「いくらでもお金があった場合、選ぶバーケーション先は?」。選択肢は「バハマ」「セドナのスパ」「エベレスト」「予想できない」。登山が好きな人という設定で、「エベレスト」にしたところ、次のような商品が表示されました。当然すべてノードストロームで売っている商品です。

スマホの自撮り棒

フェイクタトゥー

LOMO製のトイカメラ

ナイロン製のデイパック

カメラと山登りが趣味な人の好みが、うっすら反映されているようには見えます。ただ試す前から分かっていたことですが、その人特有の細かなニーズをすくい取る水準とはほど遠いです。

今回のチャットボットは、あくまでざっくりとした提案にとどまりそう。

ただ現時点でチャットボットを使うくらい情報感度の高い人は、自分で苦もなく情報探索できそうなので、現状の精度だと中途半端な感じは否めません。

とはいえ、あまりにドンピシャな答えをボットが返してしまうと、気味悪く感じる人も出てくるであろう点が、チャットボットの難しいところですね。

チャットボットへの抵抗感解消に向けて

このチャットボットへの抵抗感をいかに解消するかは、今後の課題の一つでしょう。

マーケティングエージェンシーのDigitasなどがアメリカで実施した調査によると、年収が高い人ほど、チャットボットに抵抗感を示す割合が高くなるとのこと。

「チャットボットが自分との過去のやり取りを覚えていると、抵抗を感じる」と答えた割合は、年収10万ドル以上で28%だったのに対して、5万ドル以下では20%にとどまっています。

年収が高くなるほど自分の個人情報への意識が高くなる傾向があり、ひいてはそれがチャットボットへの抵抗感につながっているといったことのようです。

すでに大手ブランドが相次いでチャットボットをリリースし、Facebook上で稼働するチャットボットは3万件以上に上るとはいえ、アメリカでの認知率はまだ5人に1人にとどまります。

今後のさらなる普及に向けてどうするべきか?同調査を実施したDigitasのJill Sherman氏はこう述べています。

「スマートフォンユーザーは、より少ないアプリで多くの作業を完結させたがっている。チャットボットはそれを可能にする手段だ。チャットボットを通した買い物は、友達に質問したりウェブ上で探すのと同じくらい簡単だ、ということを消費者に納得させる必要がある」。

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